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企業内弁護士は10年で3倍に。多様化する法務部門の役割
法務人材の不足が加速
優秀人材の確保に役立つ、業務の数値化・可視化
企業が直面するリスクが多様化する中、法務機能が企業の成長戦略に果たす役割はますます大きくなっている。しかし、多くの企業の法務部門は人材不足やコスト削減の要請、コンプライアンス強化など様々な課題に直面しており、それらを解決するためのソリューションの一つとして「リーガルテック」が注目を集めている。リーガルテックをスムーズに導入し、より効率良く活用するためにはどのような点に注意が必要なのだろうか。
グローバル化や規制緩和の加速、企業の社会的責任の拡大などを背景に、企業が抱える法務リスクは多様化・複雑化の一途をたどっている。こういったリスクに対応するため、各企業では社内における法務業務の在り方を見直す動きが加速している。中でも顕著なのが、企業内弁護士(インハウスロイヤー)雇用・活用の動きだ。日本組織内弁護士協会(JILA)の調査によると2023年6月末現在の企業内弁護士の数は全国で3,184名と、この10年間で約3倍にも増えた。さらに、採用後の弁護士の活用についても、変化が起きている。かつては法務部に配属されるのが主流だったが、最近では商品開発や営業、経営企画など法務部門以外の部門に弁護士を配属させ、法的課題により迅速に対応できる体制の整備を図る企業が増えつつある。加えて、コロナによる働き方の変化も企業内弁護士の在り方に大きな影響を与えている。
こういった現場の混乱に拍車をかけているのが、昨今の法曹業界の人材不足問題だ。自身も企業内弁護士としての勤務経験があり、現在はEY弁護士法人で企業向け法務機能強化のコンサルティングを手掛ける前田絵理弁護士によると、「少し前までは、よりワークライフバランスがとりやすい職場環境を求めて法律事務所から企業内弁護士に転じる人が多くみられました。しかし昨今、法律事務所が職場環境改善を進めており、その結果、優秀な人材が法律事務所に回帰する傾向もみられます」とのこと。今後、法務人材の不足に悩む企業が増えていくことは、想像に難くないだろう。
こういった法務部門の問題を解決する手段の一つとして注目を集めるのが、リーガルテックだ。リーガルテックというと電子署名サービス・契約書管理サービスを思い浮かべる人も多いかもしれないが、最近ではそういった個々の実務に用いるサービスに加え、法務に関わる業務の数値化・可視化を実現するためのプラットフォーム型ソリューションのニーズが伸びているという。
橋爪氏は「先ほど申し上げたとおり、昨今の法務部門を含めたコーポレートスタッフの部門においては、働き方の多様化が進んでおり、自部門のメンバーが今、何の業務に携わっており、どのフェーズにあるのか、サポートが必要なのかどうかを把握することが難しくなっています。そこで、脚光を浴びているのが法務業務を一元管理できるプラットフォームの活用です。プラットフォーム上にすべての案件情報を集約し、作業を行うことによって、法務部門の業務内容や業務量、ステータス、難易度、費やしている時間や期限、リスクを可視化できます。すると、As-Isの業務プロセスにおけるボトルネックやリスクのありか、例えば適切なアサインがなされているのか、リソースは足りているのか、期限に間に合うのかといった影響分析ができるようになり、To-beの在り方が明確になります」と分析する。方向性が明確になることで、法務部としてのビジョンが示しやすくなり、業務効率向上だけでなく人材の求心力強化にもつながっていくという。
前田氏は「経営環境の変化や新規事業領域への進出などに伴い、企業が直面するリスクプロファイルも劇的に変化しており、より高度な付加価値の高い業務や役割が法務人材には期待されるので、従来の法務人材だけでは太刀打ちできない局面も増えています。かといって、若手をゼロから育てていては、とても間に合わない。単に数だけでなく質についても人材のリソースが圧倒的に足りない状況になりつつあります。特に旧態依然の体制から脱皮できていない法務部門は若手に敬遠される可能性が高いので、これからかなり深刻な人材不足に悩まされるでしょう」と指摘する。
リーガルに特化したITソリューションを提供するトムソン・ロイター株式会社ソリューション営業本部の橋爪整本部長は、法務部のワークスタイルの変化について「法務部門含めコーポレート職の在宅勤務の定着が進み、出社ベースでの業務からオンラインベースでの業務がメインになった会社も多い」と指摘する。社内の相談者(リクエスター)自身も在宅勤務ベースとなったことで、以前は対面が主流だった法務相談も、電話やメール、チャットツールなど、複数のチャネルで多数の相談やコミュニケーションが発生、混乱状態に陥っているケースも珍しくないという。
豊富なナレッジ・過去案件の活用で、より効率的な人材育成を実現
過去案件を蓄積・共有できるのも、プラットフォーム導入の大きなメリットだ。橋爪氏は、オンライン勤務が当たり前の時代だからこそ、そのメリットはますます大きくなると指摘する。「オンラインでは膝を突き合せた、フェイス・トゥ・フェイスの教育は困難ですが、ナレッジや過去案件が蓄積されたプラットフォームを活用すれば、自発的学習・教育が可能になり、チーム全体の底上げにつながります。過去の履歴が残るということは、監査的な側面でのメリットだけでなく、蓄積されたナレッジを共有できる、メンバーの教育に役立てることができるという側面も持ち合わせています」。
同じく、前田氏もその有用性に着目する。「法務の世界は、いまだに先輩から後輩に『見て学べ』的な人材教育が根強く残っています。しかし、先ほど申し上げたとおり、今は法務にこれまでにない役割が求められる時代。年長者が『やってみせる』ことができない仕事が増えていますから、もはや『見て学べ』だけでは通用しなくなりつつあります。教材としてナレッジや過去案件をデータベース化しておくことは、やる気のある若手人材を採用・教育するために不可欠な要素となるでしょう」。
全員が「当事者」として利用できる、柔軟性に富んだシステムの採用を
このようにメリットの多いリーガルテックだが、実際には「導入したが、うまく活用できていない」、「導入のメリットが感じられない」、「一部の人しか使っていない」という声も聞かれる。リーガルテックを導入し効率的に活用するには、どのような点に注意が必要なのだろうか。
自身も弁護士としてリーガルテックを活用し、現在は企業法務部門他コーポレート部門を対象に各種プラットフォーム導入に関するコンサルティングも手掛ける前田氏は、「プラットフォームの導入はコーポレートガバナンスやグループガバナンスを正しく機能させるための手段の一つに過ぎず、導入が目的ではないという認識を徹底することが大前提です」と断言する。その上で必要なのが、「種をまく前の土壌の整備」、つまりシステムを導入するにあたっての環境整備だという。「環境整備のために有効なのが業務の棚卸です。私たちEYでもよく行う手法なのですが、法務部門の皆さんと一緒にワークショップ形式で業務を洗い出し、『これは外注する方が効率的だ』、『これは完全なルーティンワークだからシステムに任せよう』、『これは自社のノウハウとして社内に伝承していくべき業務だよね』という具合に、全ての部内の業務を白日の下にさらして整理整頓していくのです。そうすることで、本来法務人材が労力を割くべきでない業務や重複している業務なども見えてきますし、全員が自分もシステム導入の当事者であることを認識せざるを得なくなります」。全員が当事者としてプラットフォームを積極的に活用していくことで、部門のビジョン実現に向けて一体感が醸成されていくというメリットもある。「ただし、システムは日々進化していますし、現場で必要とされる機能も刻々と変化しますから、一度導入したプラットフォームをそのままにせず、カスタマイズしたり定期的に内容を更新したりする必要があります。そのためにも、本来は法務部門内にテックのリーダーを置くのが理想的ですが、法務人材が通常の法務業務とそれを両立させるのは現実的ではないため、特に欧米の企業では外部のコンサルタントや専門家のサービスを利用するスタイルが主流となっています」。
橋爪氏も、リーガルテック成功のカギは「ビジネスの変化や、会社の成長、組織の変更に沿った形でカスタマイズや更新がしやすいソリューションを導入できるかどうか」だと断言する。「テクノロジーのおかげで、企業は大きなリソースを費やすことなく幅広いビジネスや国・地域にリーチしやすくなりました。しかし、その分対応しなければならない商習慣や法律、言語が多様化しているため、それらに柔軟に対応できないサービスは、すぐに陳腐化して逆にビジネスの足かせとなってしまいます」。
前田氏も「ようやく日本でも法務部門が独自の機能戦略を立て、ミッション、バリュー、ビジョンを確立・発信する企業が増えてきました。すると、それに共感する法務人材が入ってきますし、法務人材としても方向性が明確に示されている分、キャリアパスを描きやすいので、入ってから『こんなはずじゃなかった』という理由で法務人材がすぐに辞めてしまうリスクを下げることもできます」と、そのメリットを強調する。
また、全メンバーの担当業務の内容や進捗状況が明らかになることは、公平な人事評価にもつながる。「優秀な人材を採用し、つなぎとめるには、個々人がどのような能力を有しているのか、どのような仕事をして組織にどのように貢献しているのかを正当・公平に評価することが欠かせません。従来は、自己申告やメンバー同士の関係性に左右されてしまい、定性的な評価に陥ってしまう懸念がありましたが、プラットフォーム上のデータを根拠にすることで客観的に、定量的かつ公平な評価をすることが可能になります。」と橋爪氏。
企業全体の競争力を高めるトムソン・ロイターのリーガル・ソリューション
では、具体的にどのような条件を満たすソリューションを選べばよいのだろうか。前田氏は「まずは法務部門だけでなく自社のビジネス全体の概要やビジョンを深く理解するベンダーとの協力体制が不可欠」とした上で、「グローバルなナレッジの蓄積が豊富であること、マルチ言語に対応していること、そして互換性に優れていること」などを条件に挙げる。それらの条件を満たソリューションとして前田氏が評価しているものの一つが、トムソン・ロイターのリーガル・ソリューションだ。
「トムソン・ロイターはリーガルテックの分野において、すでに海外で長い歴史を持っており、システム内に蓄積されたナレッジは質・量ともに世界のトップレベルであり、かつ、グローバルで広く使われていることからインターフェイスのわかりやすさ、他システムとの互換性などがその強みであると聞いています」。
トムソン・ロイターは2023年に日本における法律情報サービスの大手プロバイダーであるウエストロー・ジャパン株式会社の事業譲受を完了したことでも注目を集めた。橋爪氏は「日本で最も広範な法令・判例データベースへのアクセスを提供してきたウエストロー・ジャパンの事業をトムソン・ロイター株式会社へ統合したことによって、日本の法務人材に業界屈指のコンテンツとプラットフォームを提供し、リーガル分野におけるデジタルトランスフォーメーションの実現を支援する体制が整いました」と自信をのぞかせる。
トムソン・ロイターは、上述した法律情報サービスの「ウエストロー」のほかにも、国際法務の最新情報や標準的な法律文書(実務指針や各種英文契約書のひな型)を提供する「Practical Law」、外部法律事務所との電子請求や経費・案件管理をワンプラットフォームで提供する「Legal Tracker」と、企業の法務業務全般の一元管理を実現する「HighQ」を展開。このほか、生成AIのスタートアップ企業Casetextの買収も進めるなど、常にリーガルテックの最前線を走り続けている。ビジネス拡大のパートナーとして、そのソリューションを検討する価値は大いにありそうだ。
EY弁護士法人 法務機能コンサルティング、リーガル・マネージド・サービス ディレクター
日本国弁護士・米国NY州弁護士、経営学修士(MBA)、公認不正検査士
前田 絵理 様
トムソン・ロイター株式会社
ソリューション営業本部(国際税務/国際貿易/法務)本部長
橋爪 整 様
法務業務の課題解決へ 注目を集めるリーガルテック
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企業内弁護士は10年で3倍に。多様化する法務部門の役割
法務人材の不足が加速
優秀人材の確保に役立つ、業務の数値化・可視化
企業が直面するリスクが多様化する中、法務機能が企業の成長戦略に果たす役割はますます大きくなっている。しかし、多くの企業の法務部門は人材不足やコスト削減の要請、コンプライアンス強化など様々な課題に直面しており、それらを解決するためのソリューションの一つとして「リーガルテック」が注目を集めている。リーガルテックをスムーズに導入し、より効率良く活用するためにはどのような点に注意が必要なのだろうか。
こういった現場の混乱に拍車をかけているのが、昨今の法曹業界の人材不足問題だ。自身も企業内弁護士としての勤務経験があり、現在はEY弁護士法人で企業向け法務機能強化のコンサルティングを手掛ける前田絵理弁護士によると、「少し前までは、よりワークライフバランスがとりやすい職場環境を求めて法律事務所から企業内弁護士に転じる人が多くみられました。しかし昨今、法律事務所が職場環境改善を進めており、その結果、優秀な人材が法律事務所に回帰する傾向もみられます」とのこと。今後、法務人材の不足に悩む企業が増えていくことは、想像に難くないだろう。
こういった法務部門の問題を解決する手段の一つとして注目を集めるのが、リーガルテックだ。リーガルテックというと電子署名サービス・契約書管理サービスを思い浮かべる人も多いかもしれないが、最近ではそういった個々の実務に用いるサービスに加え、法務に関わる業務の数値化・可視化を実現するためのプラットフォーム型ソリューションのニーズが伸びているという。
橋爪氏は「先ほど申し上げたとおり、昨今の法務部門を含めたコーポレートスタッフの部門においては、働き方の多様化が進んでおり、自部門のメンバーが今、何の業務に携わっており、どのフェーズにあるのか、サポートが必要なのかどうかを把握することが難しくなっています。そこで、脚光を浴びているのが法務業務を一元管理できるプラットフォームの活用です。プラットフォーム上にすべての案件情報を集約し、作業を行うことによって、法務部門の業務内容や業務量、ステータス、難易度、費やしている時間や期限、リスクを可視化できます。すると、As-Isの業務プロセスにおけるボトルネックやリスクのありか、例えば適切なアサインがなされているのか、リソースは足りているのか、期限に間に合うのかといった影響分析ができるようになり、To-beの在り方が明確になります」と分析する。方向性が明確になることで、法務部としてのビジョンが示しやすくなり、業務効率向上だけでなく人材の求心力強化にもつながっていくという。
前田氏は「経営環境の変化や新規事業領域への進出などに伴い、企業が直面するリスクプロファイルも劇的に変化しており、より高度な付加価値の高い業務や役割が法務人材には期待されるので、従来の法務人材だけでは太刀打ちできない局面も増えています。かといって、若手をゼロから育てていては、とても間に合わない。単に数だけでなく質についても人材のリソースが圧倒的に足りない状況になりつつあります。特に旧態依然の体制から脱皮できていない法務部門は若手に敬遠される可能性が高いので、これからかなり深刻な人材不足に悩まされるでしょう」と指摘する。
豊富なナレッジ・過去案件の活用で、より効率的な人材育成を実現
過去案件を蓄積・共有できるのも、プラットフォーム導入の大きなメリットだ。橋爪氏は、オンライン勤務が当たり前の時代だからこそ、そのメリットはますます大きくなると指摘する。「オンラインでは膝を突き合せた、フェイス・トゥ・フェイスの教育は困難ですが、ナレッジや過去案件が蓄積されたプラットフォームを活用すれば、自発的学習・教育が可能になり、チーム全体の底上げにつながります。過去の履歴が残るということは、監査的な側面でのメリットだけでなく、蓄積されたナレッジを共有できる、メンバーの教育に役立てることができるという側面も持ち合わせています」。
同じく、前田氏もその有用性に着目する。「法務の世界は、いまだに先輩から後輩に『見て学べ』的な人材教育が根強く残っています。しかし、先ほど申し上げたとおり、今は法務にこれまでにない役割が求められる時代。年長者が『やってみせる』ことができない仕事が増えていますから、もはや『見て学べ』だけでは通用しなくなりつつあります。教材としてナレッジや過去案件をデータベース化しておくことは、やる気のある若手人材を採用・教育するために不可欠な要素となるでしょう」。
全員が「当事者」として利用できる、柔軟性に富んだシステムの採用を
このようにメリットの多いリーガルテックだが、実際には「導入したが、うまく活用できていない」、「導入のメリットが感じられない」、「一部の人しか使っていない」という声も聞かれる。リーガルテックを導入し効率的に活用するには、どのような点に注意が必要なのだろうか。
自身も弁護士としてリーガルテックを活用し、現在は企業法務部門他コーポレート部門を対象に各種プラットフォーム導入に関するコンサルティングも手掛ける前田氏は、「プラットフォームの導入はコーポレートガバナンスやグループガバナンスを正しく機能させるための手段の一つに過ぎず、導入が目的ではないという認識を徹底することが大前提です」と断言する。その上で必要なのが、「種をまく前の土壌の整備」、つまりシステムを導入するにあたっての環境整備だという。「環境整備のために有効なのが業務の棚卸です。私たちEYでもよく行う手法なのですが、法務部門の皆さんと一緒にワークショップ形式で業務を洗い出し、『これは外注する方が効率的だ』、『これは完全なルーティンワークだからシステムに任せよう』、『これは自社のノウハウとして社内に伝承していくべき業務だよね』という具合に、全ての部内の業務を白日の下にさらして整理整頓していくのです。そうすることで、本来法務人材が労力を割くべきでない業務や重複している業務なども見えてきますし、全員が自分もシステム導入の当事者であることを認識せざるを得なくなります」。全員が当事者としてプラットフォームを積極的に活用していくことで、部門のビジョン実現に向けて一体感が醸成されていくというメリットもある。「ただし、システムは日々進化していますし、現場で必要とされる機能も刻々と変化しますから、一度導入したプラットフォームをそのままにせず、カスタマイズしたり定期的に内容を更新したりする必要があります。そのためにも、本来は法務部門内にテックのリーダーを置くのが理想的ですが、法務人材が通常の法務業務とそれを両立させるのは現実的ではないため、特に欧米の企業では外部のコンサルタントや専門家のサービスを利用するスタイルが主流となっています」。
橋爪氏も、リーガルテック成功のカギは「ビジネスの変化や、会社の成長、組織の変更に沿った形でカスタマイズや更新がしやすいソリューションを導入できるかどうか」だと断言する。「テクノロジーのおかげで、企業は大きなリソースを費やすことなく幅広いビジネスや国・地域にリーチしやすくなりました。しかし、その分対応しなければならない商習慣や法律、言語が多様化しているため、それらに柔軟に対応できないサービスは、すぐに陳腐化して逆にビジネスの足かせとなってしまいます」。
前田氏も「ようやく日本でも法務部門が独自の機能戦略を立て、ミッション、バリュー、ビジョンを確立・発信する企業が増えてきました。すると、それに共感する法務人材が入ってきますし、法務人材としても方向性が明確に示されている分、キャリアパスを描きやすいので、入ってから『こんなはずじゃなかった』という理由で法務人材がすぐに辞めてしまうリスクを下げることもできます」と、そのメリットを強調する。
また、全メンバーの担当業務の内容や進捗状況が明らかになることは、公平な人事評価にもつながる。「優秀な人材を採用し、つなぎとめるには、個々人がどのような能力を有しているのか、どのような仕事をして組織にどのように貢献しているのかを正当・公平に評価することが欠かせません。従来は、自己申告やメンバー同士の関係性に左右されてしまい、定性的な評価に陥ってしまう懸念がありましたが、プラットフォーム上のデータを根拠にすることで客観的に、定量的かつ公平な評価をすることが可能になります。」と橋爪氏。
企業全体の競争力を高めるトムソン・ロイターのリーガル・ソリューション
では、具体的にどのような条件を満たすソリューションを選べばよいのだろうか。前田氏は「まずは法務部門だけでなく自社のビジネス全体の概要やビジョンを深く理解するベンダーとの協力体制が不可欠」とした上で、「グローバルなナレッジの蓄積が豊富であること、マルチ言語に対応していること、そして互換性に優れていること」などを条件に挙げる。それらの条件を満たすソリューションとして前田氏が評価しているものの一つが、トムソン・ロイターのリーガル・ソリューションだ。
「トムソン・ロイターはリーガルテックの分野において、すでに海外で長い歴史を持っており、システム内に蓄積されたナレッジは質・量ともに世界のトップレベルであり、かつ、グローバルで広く使われていることからインターフェイスのわかりやすさ、他システムとの互換性などがその強みであると聞いています」。
トムソン・ロイターは2023年に日本における法律情報サービスの大手プロバイダーであるウエストロー・ジャパン株式会社の事業譲受を完了したことでも注目を集めた。橋爪氏は「日本で最も広範な法令・判例データベースへのアクセスを提供してきたウエストロー・ジャパンの事業をトムソン・ロイター株式会社へ統合したことによって、日本の法務人材に業界屈指のコンテンツとプラットフォームを提供し、リーガル分野におけるデジタルトランスフォーメーションの実現を支援する体制が整いました」と自信をのぞかせる。
トムソン・ロイターは、上述した法律情報サービスの「ウエストロー」のほかにも、国際法務の最新情報や標準的な法律文書(実務指針や各種英文契約書のひな型)を提供する「Practical Law」、外部法律事務所との電子請求や経費・案件管理をワンプラットフォームで提供する「Legal Tracker」と、企業の法務業務全般の一元管理を実現する「HighQ」を展開。このほか、生成AIのスタートアップ企業Casetextの買収も進めるなど、常にリーガルテックの最前線を走り続けている。ビジネス拡大のパートナーとして、そのソリューションを検討する価値は大いにありそうだ。
EY弁護士法人 法務機能コンサルティング、リーガル・マネージド・サービス ディレクター
日本国弁護士・米国NY州弁護士、経営学修士(MBA)、公認不正検査士
前田 絵理 様
トムソン・ロイター株式会社
ソリューション営業本部(国際税務/国際貿易/法務)本部長
橋爪 整 様
法務業務の課題解決へ 注目を集めるリーガルテック
ビジネスの変化や、会社の成長、組織の変更に沿った形でカスタマイズや更新がしやすいソリューションを導入できるかどうかがカギ
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リーガルに特化したITソリューションを提供するトムソン・ロイター株式会社ソリューション営業本部の橋爪整本部長は、法務部のワークスタイルの変化について「法務部門含めコーポレート職の在宅勤務の定着が進み、出社ベースでの業務からオンラインベースでの業務がメインになった会社も多い」と指摘する。社内の相談者(リクエスター)自身も在宅勤務ベースとなったことで、以前は対面が主流だった法務相談も、電話やメール、チャットツールなど、複数のチャネルで多数の相談やコミュニケーションが発生、混乱状態に陥っているケースも珍しくないという。
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