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企業内弁護士は10年で3倍に。多様化する法務部門の役割
貿易コンプライアンスの複雑化に、企業はどう立ち向かうべきか?
安全保障貿易管理や地政学リスクなど、様々な要因で輸出規制が強化される中、グローバルに事業を展開する企業には貿易コンプライアンスの徹底がますます強く求められるようになっている。これを実現するには懸念取引先や制裁措置の確認・スクリーニングなど膨大な量の業務が必要であり、手作業や従来型の検索エンジンによる対応では、確認不足によるコンプライアンス違反を犯してしまうなど、ビジネス上の大きなリスクを伴う。
そこで多くのグローバル企業では業務の効率化によるリスク軽減策の一環として、専用ソフトウェアの導入を進めている。エネルギー・産業インフラ関連のプラント・施設のEPC(設計・調達・建設)事業などを国内外で手掛ける事業会社を傘下に持つ日揮ホールディングス株式会社でも、このほどトムソン・ロイターの国際貿易管理システムソリューション、懸念取引先リスト照合サービス「ONESOURCE DENIED PARTY SCREENING」を導入した。導入の狙いと手応え、今後の展望などについて同社執行役員で法務部門をリードする鞍田哲氏、輸出管理チームでコンプライアンスを担当する笹山、松村両氏に聞いた。
三浦:安全保障貿易管理の複雑化や地政学リスクの高まりにより、輸出規制の強化が進んでいます。御社では貿易コンプライアンスについて、具体的にどのような課題を抱えていますか?
鞍田執行役員(以下、鞍田 敬称略):当社グループはエンジニアリング企業としてグローバルに事業を展開しており、1件当たり1兆円を超える大型液化天然ガス(LNG)のEPC案件を手掛けることもあります。こういった業態の特性上、国家の安全保障政策や地政学リスクの影響を受けやすく、現に最近のロシア制裁、米中関係悪化による制裁法や輸出規制による工事費用の追加やスケジュール延長など様々な影響を受けています。したがって、ビジネスの安定的継続には、こういった制裁法や輸出規制の動向を注視することが不可欠であり、世界情勢の動きをこれまで以上に早く、正確に把握できる体制の整備が課題となっています。
三浦:同様のお話は、最近業界を問わず、本当によく耳にするようになりました。どの業界でもこれだけサプライチェーンのグローバル化・複雑化が進みますと、自国のみならず取引先の国も含めたグローバルな法令や規制への対応が不可欠です。しかし、その数は膨大である上に、先ほど鞍田さんが指摘されたとおり地政学リスクがますます深刻化しつつあります。さらには、目に見える法令や規制だけでなく、ステークホルダーや取引先とのやり取りの中には、目に見えない潜在的なリスクも潜んでいます。
鞍田:おっしゃるとおり、単に法令や規制だけでなく各ステークホルダーの背景にある潜在的なリスクへの対応も、ますます強く求められるようになっています。つまり、目の前にあるリスクに対応するだけでなく、潜在的なリスクを先読みして回避することも、企業にとって大きな経営課題となっているわけですが、この課題の解決には高度かつ専門的な知識が必要で、従前の体制では対応できないレベルにまでなっています。そこで当社では2023年、社内に新たに「経済安全保障・地政学リスクタスクフォース」を立ち上げました。その目的は、地政学リスクをいち早く察知し、そのリスクが当社グループにどのような影響を及ぼすかを分析して議論し、その結果をマネジメントに報告することによって、地政学リスクに起因するリスクを最小限に抑えることを目的としています。
対談:日揮ホールディングス株式会社 執行役員 ジェネラルカウンセル
鞍田 哲 氏
トムソン・ロイター株式会社 代表取締役社長 三浦 健人
豊富なナレッジ・過去案件の活用で、より効率的な人材育成を実現
トムソン・ロイター
株式会社 代表取締役社長 三浦 健人
貿易コンプライアンスを強化、組織を地政学リスクから守る
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教材としてナレッジや過去案件をデータベース化しておくことは、やる気のある若手人材を採用・教育するために不可欠な要素
ビジネスの変化や、会社の成長、組織の変更に沿った形でカスタマイズや更新がしやすいソリューションを導入できるかどうかがカギ
~トムソン・ロイター「ONESOURCE DENIED PARTY SCREENING」導入事例~
第1部
リスク管理の基本は迅速かつ正確な情報収集
日揮ホールディングス株式会社 執行役員 ジェネラルカウンセル 鞍田 哲 氏
システム導入で、貴重な専門人材をより本質的な業務に
三浦:素晴らしい取り組みですね。タスクフォースと現場の各部署との連携は、どのような体制を敷いていらっしゃるのですか?
鞍田:輸出管理チームがタスクフォースの事務局を兼任しています。タスクフォースから輸出管理チームを介してグループ内の事業会社の各部署に必要な情報を伝達し、逆に輸出管理チームが吸い上げてくる各部署からの情報をもとにタスクフォースがリスク分析をすることもあります。タスクフォースの存在自体が良い刺激となり、グループ内の貿易コンプライアンス強化の機運醸成に一役買っていることは確かだと思います。
三浦:これからタスクフォースの存在意義がますます大きくなりそうですね。とはいえ、世界情勢がこれだけ複雑化してきますと、情報の分析もさることながら、正確な情報を迅速に集めること自体が大変難しくなっています。人材不足が加速化する中、こういった専門的業務を担う人材確保は容易でないと考えます。
鞍田:そうですね。当社ではタスクフォースの事務局を兼務する輸出管理チームの補強にも取り組んでいます。具体的には昨年キャリア採用で新たな人材を獲得、これまで以上にグループ会社の輸出管理を補強できる体制を整えました。新規ビジネスも次々に立ち上がっている上に、貿易・輸出管理リスク増加を背景に業務量自体が大幅に増えているため、現体制でも決して十分とは言えません。輸出管理の専門人材は世界的に見て希少であり、簡単に増強できないという課題もあります。
三浦:同様の課題を抱える企業は多く、海外ではすでに外部人材やテクノロジーの活用によって業務を効率化し、情報不足や見落としによるコンプライアンス違反のリスクに備える動きが加速しています。このほど、御社にはトムソン・ロイターの懸念取引先照合サービス「ONESOURCE DENIED PARTY SCREENING」を導入していただきましたが、導入の直接的な狙いはどこにあったのでしょうか?
鞍田:やはり、一番の目的は審査業務の大幅な効率化です。これまで属人的な作業で行ってきた審査をシステムで自動化することによって、見落としや確認漏れのリスクを軽減することを目的としています。そして、これまで審査に費やしてきた人材の時間と労力をより本質的な業務に活用することによってリスクベースのアプローチ体制を整備していきたい、つまり、より大きな経営上のリスクの把握・回避に、貴重な人的リソースを活用していきたいと考えています。
安全かつ公平な国際貿易の実現を強力にサポート
三浦:まさにシステムの理想的な活用方法だと思います。企業が抱える業務の中でも貿易管理の分野は、世界的に見ても専門家の数が非常に限られています。しかしながら、その貴重であるはずの専門人材の多くが、スケジュール管理やプロセス管理などの単純作業に時間と労力を費やしてしまっているケースが珍しくありません。そういった作業を、システムやAIに任せることによって、専門家の皆さんは専門性がより活かせる業務、やりがいをもてる業務に取り組むことができ、それが結果として組織のコンプライアンス向上、生産性向上に繋がっていくものと考えます。テクノロジーは「人に取って代わるもの」ではなく、「人にしかできない仕事をするためのツール」です。トムソン・ロイターでは優れたシステムの提供を通じて、貴重な人材がその専門性や能力を存分に発揮できる環境整備のお手伝いをさせていただきます。
鞍田:まだ使い始めて間もないですが、現場の社員からはすでに「使いやすい」、「業務が楽になった」という高評価の声が届いています。本ソリューションは社内であれば原則としてアカウント数の制限なく使えるということですので、今後、国内外を問わずグループ内に浸透させ、コンプライアンス強化の底上げに活用していきたいですね。今後、当社のニーズに合わせてカスタマイズしたり、他の業務システムと連携したりして活用するなどできれば、またそこから新たな価値が生まれるのではないかと期待しています。トムソン・ロイターはすでにグローバル市場での実績があり、この領域での知見やノウハウも蓄積されていると思いますので、ぜひ可能な範囲で供していただくなど、当社の貿易コンプライアンス強化のパートナーとしてシステム+αのサポートを期待しています。
三浦:ありがとうございます。グローバル基準の汎用性はしっかり確保しつつ、クリティカルな部分はお客さまに合わせてカスタマイズできるのもトムソン・ロイターのソリューションの強みです。既存の社内システムとの連携はもちろん、認定コネクタを使用し、SAPやOracleを含む主要なERPとの統合によりワンストップでの業務管理が可能になり、より強力に業務効率化を進めることも可能です。ぜひ、お気軽にご要望をお聞かせください。御社にとって理想的なシステムを作り上げることが、当社のシステムやサービスの改善に繋がり、それが結果として貿易コンプライアンスの浸透、ひいては自由で公平な国際貿易の発展に繋がるものと考えています。
「ONESOURCE DENIED PARTY SCREENING」で実現する業務効率化とリスク最小限化
第2部
日揮ホールディングス株式会社
ガバナンス統括オフィス 法務・ガバナンスユニット
輸出管理チームマネージャー
笹山 孝夫 氏
ガバナンス統括オフィス 法務・ガバナンスユニット
輸出管理チームアシスタントマネージャー
松村 香里 氏
トムソン・ロイター株式会社
プリセールス統括マネージャー
森下 馨
シニアビジネスディベロップメントマネージャー
グローバルトレード
高野 一生
日揮ホールディングス株式会社
ガバナンス統括オフィス 法務・
ガバナンスユニット
輸出管理チームマネージャー
笹山 孝夫 氏
ガバナンス統括オフィス 法務・
ガバナンスユニット
輸出管理チームアシスタントマネ
ージャー
松村 香里 氏
トムソン・ロイター株式会社
プリセールス統括マネージャー
森下 馨
シニアビジネスディベロップメン
トマネージャー
グローバルトレード
高野 一生
懸念取引先リスト自動スクリーニングで貿易コンプライアンス対策をより確実・スムーズに
―他のソリューションと比べてONESOURCE DENIED PARTY SCREENINGには、どのような強みがありますか?
高野:何と言っても情報のフレッシュさです。現状750以上のリストが毎日、自動更新されるため、情報のタイムラグがなく、コンプライアンス違反のリスクを最小限に抑えることが可能です。なお、リストの数はお客さまの業務の都合に合わせて変更でき、「特定の国のリストだけ見たい」といった個別のニーズにも対応できます。また、社内のユーザー数に制限がなく、アカウント追加も自由に行える点も大きな強みです。社内でリアルタイムにスクリーニング結果を共有することによって、全社でのグローバルリスクマネジメントを効率よく行うことができます。更に、自動スクリーニング機能を備えており、夜間に自動でスクリーニングを行うため、手動でスクリーニングを行う必要がない点も、高く評価されています。
採用の決め手は「使いやすさ」。他部署の社員にも使いやすい直感的なインターフェイス
―日揮ホールディングス株式会社では、このほどONESOURCE DENIED PARTY SCREENINGを導入されました。背景にはどのような課題があったのでしょうか?
笹山:私たち輸出管理チームでは、日揮ホールディングスおよびグループ内の輸出管理、すなわち安全保障管理に関わる業務を行っています。貿易は本来、自由に行われるべきものですが、近年では国際平和維持の観点からさまざまな規制や制裁措置が設けられています。自社およびグループの貿易がそれらの規制や制裁措置に抵触していないかどうかをチェックして見極め、リスクを避けることが輸出管理のミッションです。チェックは輸出規制や制裁措置についてのリストと自社の取引先や顧客のリストを照らし合わせてスクリーニングする作業が必要ですが、毎日これを手作業で行うには大変な手間と時間がかかるため、当社では以前からシステムを活用して業務の効率化を図っていました。貿易コンプライアンスの複雑化が加速する一方で人的リソースは限られていますから、システムによって属人的な業務を減らしていかないと持続可能なリスク管理が実現できないという事情もありました。しかし、何度かシステムを入れ替えてみたものの、「情報量が多すぎる」、「使い勝手が悪い」、「アカウント数に制限がある」などの問題点があったため、より相性の良いシステムを求めて情報収集を進めていました。
―トムソン・ロイターのONE SOURCE DENIED PARTY SCREENINGを採用した経緯と、決め手は?
松村:制裁リストに掲載される企業の数も、ここ3年でほぼ倍増しています。より良いシステムを求めて情報収集している際に、偶然、ネット検索でみつけたのがONESOURCE DENIED PARTY SCREENINGでした。グローバルで知名度の高いトムソン・ロイターが提供するシステムということで興味を持ち、トムソン・ロイター主催の安全保障貿易管理のセミナーに参加、ONESOURCE DENIED PARTY SCREENINGの機能や特徴について詳しく説明を受け、既存システムでの課題をほぼクリアできると確証が持てたため、採用を決めました。一番の決め手は、使いやすさです。当社では営業や調達など他部署の社員もスクリーニング結果を見ることが多いため、複雑な操作をしなくてもすぐにスクリーニングの結果(対象企業の懸念度など)がパッと一目で把握できる点が、非常に魅力的でした。インターフェイスのデザインも非常にわかりやすく、直感的に操作できる点も非常に良いと思います。情報量が多すぎず、内容も専門的すぎないので輸出管理の専門知識がない社員にも抵抗感なく使い始めやすいようです。実際、導入後は他部署の社員も利用していますが、特にトラブルもなく、スムーズに日常業務に活用できています。
アカウント数無制限、既存システムとの連携も可能。
将来的にはグローバル展開も視野に
笹山:アカウントの数に制限がないのは本当にありがたいですね。松村が申し上げたとおり、他部署でもスクリーニング結果を頻繁に確認していますので、追加料金なしで関係者全員がアカウントを持つことができる点はすごく助かっています。また、海外の拠点で外国人人材がスクリーニングを行うことを考えると、表示が日本語と英語の両方に切り替えができる点も、ONESOURCE DENIED PARTY SCREENINGの強みの一つ。今はまだ単独のシステムとして使っていますが、グループ内のシステムと連携してグローバルに活用することも検討する価値があると思っています。
松村:グローバルで活用する場合はなおさら、トムソン・ロイターのブランド認知度の高さは大きなアドバンテージです。先日もお客さまとの打ち合わせの際に「どこのスクリーニングシステムを使っているのか?」と聞かれて、「トムソン・ロイターのシステムです」と答えたところ、「それなら安心だね」と言っていただくことができました。輸出管理の分野ではスクリーニングリストの正確性や鮮度が大きなリスクの原因を引き起こしかねないので、システム自体の信用度が極めて重要です。グローバル市場で定評のあるトムソン・ロイターのシステムを使っていることがお客さまの安心材料となり、結果として当社への信頼に繋がることを実感いたしました。
森下:嬉しいエピソードのご共有、ありがとうございます。おっしゃっていただいた通り、広範なグローバルネットワークを有する点は当社システムをご利用いただく大きなメリットのうちの一つです。210以上の国や地域の輸出入制度情報を網羅しているだけでなく、190名以上の専門スタッフが365日体制で制度のモニタリングを実施しており、常に最新の規制や制度変更に対応して、お客さまのビジネス上のリスクを最小限に抑えるべく努力を続けています。
さらなるコンプライアンス強化が持続可能な経営のカギに
―今後、トムソン・ロイターのシステムやサポートを御社の成長にどのように生かしていきますか?
笹山:貿易コンプライアンスへの関心は、ここ数年、ますます高くなっています。取引先やお客さまだけでなく投資家や金融機関からのコンプライアンスに関する問い合わせ件数も格段に増加しています。私たちのチームの目標は、どんな問い合わせや要請にも迅速かつ的確に対応できる体制を整え、当社グループやステークホルダーをコンプライアンス違反のリスクから守ること、そして持続可能な経営に貢献することです。そのためにも、引き続きトムソン・ロイターのシステムを活用して精度の高い自動スクリーニングを行うとともに、自動化により確保した時間を活かしてリスクベースアプローチに基づいた新たな施策に取り組み、コンプライアンス基盤の更なる強化に努めていきたいと考えています。これにより、顧客や取引先に対して、より高い信頼性と透明性を提供していきます。
高野:コンプライアンスへの関心の高まりに対応すべく、当社でもサイクル化された機能改善活動により、引き続きシステムの精度向上、サポート体制の整備に取り組んでいます。これに欠かせないのが、実際にシステムをご利用になっている皆さまからのご意見です。どんな小さな疑問やご不安、ご要望でも、どうぞ担当者までお寄せください。皆さまのお声を可能な限り反映してシステム・サポート体制のさらなる向上に努め、貿易コンプライアンスの向上を通じて皆さまのビジネスの成長に貢献してまいります。
